不況に強く、AIリスクも低い仕事

2007〜09年の景気後退では、医療の雇用が毎月増えました。不況に強い仕事のうち、AIの影響も受けにくい仕事を調べました。

不況に強く、AIリスクも低い仕事
Image: AI-generated with FontVibe

最も確かな不況に強い仕事は医療です。2007〜09年の景気後退で米国経済が740万人分の雇用を失ったとき、医療の雇用は1か月も欠かさず増えました(米国労働統計局(BLS)のデータ、FRED経由)。ただし、AIを考えるとリストは変わります。不況に強い仕事のリストで今も勧められている経理事務やカスタマーサービスは、私たちが評価する職業のなかでもAI暴露度が特に高い部類です。両方の条件を満たすのは、主に患者に直接接する医療職と、一部の公益事業・公共の安全に関わる仕事です。このガイドでは、2つの条件それぞれのデータを示します。景気に関係なくAIに強い仕事は、AIに強い仕事ガイドをご覧ください。

「不況に強い」をどう確かめたか

仕事の安定は、その仕事にお金を払う業界の安定で決まります。そこで、直近2回の景気後退で米国の業界別雇用がどう動いたかを調べました。期間は全米経済研究所(NBER)の判定に従い、2007年12月〜2009年6月と、2020年2月〜4月です。数字はすべて季節調整済みのBLS雇用者数で、2026年10月時点でFREDに公表されているものです。

業界2007年12月〜2009年6月2020年2月〜4月
医療+3.3%−9.7%
公益事業+0.6%−0.9%
地方自治体(教育を除く)+0.8%−5.1%
非農業部門全体−5.3%−14.4%
レジャー・宿泊・飲食−3.5%−48.4%
製造業−14.7%−10.7%
建設業−19.8%−14.3%

出典:BLS雇用統計(CES)、FRED経由:医療、公益事業、地方自治体(教育を除く)、非農業部門全体、レジャー・宿泊・飲食、製造業、建設業。

医療は2007〜09年の景気後退中に約43万人、2001年の景気後退中に約25万人、雇用を増やしました。BLSの研究によると、最も伸びたのは在宅医療で、2007年から2010年に雇用が18.3%増えています(Monthly Labor Review)。

2020年の景気後退は例外です。医療は2か月で約160万人分の雇用を失い、2020年2月の水準に戻ったのは2022年10月でした。米国の雇用全体が戻ってから4か月後です。「不況に強い」とは、人々の収入が減ったときに仕事が持ちこたえるかどうかの話です。人々が病院に行けなくなるような衝撃までは含みません。

AIリスクをどう確かめたか

2つ目の条件には、私たちのAIリスクスコア(AIProofMe、2026年11月)を使いました。各スコアは、米国労働統計局が2026年8月に公表した公式のAI暴露度(低〜非常に高いの段階)を出発点に、OpenAI、Anthropic、Microsoftの3つの研究で各段階の中の順位を決めています。スコアが表すのは、仕事のどれだけの部分にAIが影響しうるかで、仕事を失う確率ではありません(スコアの算出方法)。BLS自身も、暴露度は「失業を意味しない」と述べています。

BLSのAI暴露度が低か中程度(スコア54以下)で、なおかつBLSが2025〜2035年に雇用が増えると予測している仕事を、2つ目の条件を満たすものとしました。

不況に強く、AIリスクも低い仕事

次の仕事は、前回の通常の景気後退で持ちこたえた業界にあり、AI暴露度が低か中程度で、雇用の増加も見込まれています。

職業AIリスクスコアBLSのAI暴露度BLSの雇用予測(2025〜35年)年収の中央値
訪問介護員・パーソナルケア助手45中程度+18.1%$34,900
看護助手41低+2.6%$42,260
准看護師(LPN)43低+3.0%$62,340
医師助手(PA)43低+21.1%$133,260
呼吸療法士43低+8.6%$80,450
歯科衛生士43低+7.9%$94,260
理学療法士アシスタント42低+23.0%$55,170
送電線作業員42低+10.3%$92,560
消防士43低+3.7%$59,530

データ:AIProofMeスコア(2026年11月)、BLSのAI暴露度区分と2025〜35年の雇用予測。

患者に直接接する医療職

このリストの大半は、患者のそばで仕事をする医療職です。訪問介護員は最大の職種で約430万人が働き、BLSは18.1%の増加を予測しています。医師助手は最も給料が高く、BLSによるAI暴露度は低です。

看護師(正看護師)は不況の条件は満たしますが、私たちの条件は満たしません。BLSのAI暴露度は高で、スコアは63/100です。看護師の需要は今後も5.6%増えると予測されているので、このスコアは、仕事のタスクのうちAIにできることと重なる部分が多いという意味です。看護師の仕事がなくなるという意味ではありません。医療職のAIリスクランキングもご覧ください。

公益事業と公共の安全

BLSの職業見通しハンドブックによると、送電線作業員の半数は公益事業で働いています。公益事業の雇用は、どちらの景気後退でもほとんど動きませんでした。

消防士の多くは地方自治体で働いています。BLSによると、有給の消防士の87%です。地方自治体は2007〜09年の景気後退そのものは雇用を保ちましたが、その後2013年3月までに3.5%を減らし、2009年半ばの水準に戻ったのは2017年後半でした(FRED)。公的な仕事は、予算を通じて遅れて景気後退の影響を受けます。

不況に強いとされるが、AIの条件を満たさない仕事

まず外したいのが経理事務です。AARPの不況に強い仕事のリストには経理・会計・監査事務員が入っており、その理由は需要が「景気後退で縮小する可能性は低い」からだとしています(AARP)。景気後退では縮まないとしても、長期的な流れですでに縮んでいます。経理事務員は私たちの指数で90/100、BLSは2035年までにこの仕事が5.6%減ると予測しています。

カスタマーサポートにも同じ問題があります。Revelio Labsは、2022年以降の米国の求人で、カスタマーサポートが最も安定した職種の1つだったとしています(Revelio Labs)。カスタマーサービス担当者のスコアは94/100で、私たちがつける中でも最も高い部類です。BLSは人数が5.3%減ると予測しています。

会計士はもう少し穏やかなケースです。AI暴露度は非常に高い(84/100)ものの、BLSは5.0%の増加を予測しています。こうした仕事は、タスクが変わりながらも需要は続きます。

AIリスクは低いが、不況には強くない仕事

逆の思い込みが、手を動かす仕事なら景気が悪くても安全だという考えです。電気工事士は48/100、配管工は49/100で、どちらもAI暴露度は中程度、雇用も増えると予測されています。しかし電気工事士の3分の2は電気工事会社で働いており(BLS)、これは建設業の一部です。建設業は2007〜09年の景気後退で雇用の5分の1を失い、2007年12月の水準に戻ったのは2019年6月でした(FRED)。製造業は14.7%減り、今も2007年の水準を下回っています(FRED)。

手に職をつけることは、AIへの備えとしては有効です。住宅や工場の不況への備えとしては弱くなります。技能職なら、新築工事に結びついた仕事より、送電線のような公益事業に結びついた仕事のほうが持ちこたえました。建設職のAIリスクも比べてみてください。

この結果をどう使うか

  1. 自分の仕事の2つの数字を確かめる。 どの職業ページにも、AIリスクスコアとBLSの雇用予測が並んでいます。スコアが低くても雇用が減ると予測される仕事は、安全とは言えません。
  2. 誰がその仕事にお金を払っているかを見る。 患者、保険会社、公共料金でまかなわれる業界は、2008年に持ちこたえました。建設、工場、飲食店、ホテルは持ちこたえませんでした。
  3. 医療に移るなら、患者に直接接する職種を選ぶ。 同じ分野でも記録を扱う仕事は、上の臨床職よりAI暴露度がはるかに高くなります。たとえば診療情報管理士は91/100です。

自分の職業の位置を知るには、無料のAIリスク診断を受けてください。

この記事で取り上げた職業

出典

  1. All Employees, Health Care (CES6562000101) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  2. All Employees, Total Nonfarm (PAYEMS) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  3. All Employees, Construction (USCONS) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  4. All Employees, Manufacturing (MANEMP) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  5. All Employees, Utilities (CES4422000001) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  6. All Employees, Local Government, Excluding Education (CES9093200001) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  7. All Employees, Leisure and Hospitality (USLAH) — Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED), data from U.S. BLS, 2026-10-02
  8. US Business Cycle Expansions and Contractions — National Bureau of Economic Research, 2023-03-14
  9. Healthcare jobs and the Great Recession — U.S. Bureau of Labor Statistics, Monthly Labor Review, 2018-06-14
  10. Artificial Intelligence (AI) exposure categories — U.S. Bureau of Labor Statistics, 2026-08-27
  11. Line Installers and Repairers, Occupational Outlook Handbook — U.S. Bureau of Labor Statistics, 2026-08-27
  12. Firefighters, Occupational Outlook Handbook — U.S. Bureau of Labor Statistics, 2026-10-29
  13. Electricians, Occupational Outlook Handbook — U.S. Bureau of Labor Statistics, 2026-08-27
  14. 10 Jobs That Are 'Recession-Proof' — AARP, 2025-07-01
  15. Recession Proof Jobs: Which Roles Held Up — Revelio Labs, 2026-05-12

よくある質問

不況に強い仕事にはどんなものがありますか?

完全に不況に強い仕事はありませんが、最も近いのは医療です。2007〜09年の景気後退で米国経済が740万人分の雇用を失うなか、医療の雇用は毎月増え続けました。公益事業や、消防などの地方自治体のサービスも、この景気後退を通じて安定していました。

不況にもAIにも強い仕事は何ですか?

両方の条件を満たすのは、主に患者に直接接する医療職です。訪問介護員、看護助手、准看護師、医師助手(PA)、呼吸療法士、歯科衛生士などで、いずれもAIProofMeのAIリスク指数で100点中41〜45点、米国労働統計局(BLS)は2035年まで雇用が増えると予測しています。送電線作業員と消防士も条件を満たします。

医療は不況に強いですか?

通常の景気後退では、強いと言えます。2007年12月から2009年6月までに医療の雇用は約43万人増え、2001年の景気後退でも増えました。例外は2020年のコロナ禍による景気後退で、医療は2か月で約160万人分の雇用を失い、元の水準に戻ったのは2022年10月でした。

電気工事士は不況に強いですか?

過去の記録を見る限り、強いとは言えません。電気工事士のAI暴露度は中程度ですが、3分の2は建設業の電気工事会社で働いています。建設業は2007〜09年の景気後退で雇用の約5分の1を失い、2007年の水準に戻ったのは2019年でした。

給料の高い不況に強い仕事は何ですか?

AI暴露度も低い仕事のなかでは、当サイトの職業ページに載せたBLSの数字によると、年収の中央値は医師助手が$133,260、歯科衛生士が$94,260、送電線作業員が$92,560、呼吸療法士が$80,450です。

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